西山法律事務所
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事業者のための労働法・労働者派遣法

第19 労働者派遣

1 労働者派遣事業とは

(1)労働者派遣事業

派遣元と労働者の間に雇用関係

派遣先と労働者の間に指揮命令関係(雇用関係なし)

(2)請負との違い

派遣先(注文主)との間の指揮命令関係の有無

派遣:有り  請負:なし

(3)出向との違い

派遣先(出向先)との間の雇用関係の有無

派遣:なし  出向:有り

2 偽装請負

実質は派遣契約であるにもかかわらず、請負契約のように装うことにより、労働者派遣法の規制を潜脱するもの。

3 労働者派遣法による規制

@二重派遣の禁止

A派遣事業を行うために許可(一般労働者派遣事業)ないし届出(特定労働者派遣事業)が必要

B派遣禁止業務がある

C派遣可能期間の規制

D派遣先による事前面接の禁止

E派遣先の雇用義務(後述第19の4参照)

Fその他

4 受入期間と直接雇用申込義務・努力義務

(1)自由化業務(派遣期間制限のある業務)

@ 1年以上3年までの間継続して同一業務で就業した派遣労働者に対して直接雇用の努力義務が発生する。

A 派遣期間制限に違反した場合、直接雇用を希望する派遣労働者に対して雇用契約の申込義務が発生する。
 したがって、派遣可能期間を超えて継続して受け入れたい場合、直接雇用の申込をしなくてはならない。

(2)26業務(派遣期間制限のない業務)

3年を超えて継続している派遣労働者と同一の業務で新たに雇い入れようとする場合、派遣労働者に対して雇用契約の申込義務が発生する。

→ 3年を超える派遣労働者がいる就業業務に、紹介予定派遣の派遣が経過したのち雇用する場合も「雇い入れ」に該当し、したがって3年を超えた派遣労働者への雇用契約の申込みを行う必要がある。

→ 3年を超える派遣労働者がいる就業業務に、他の部署からの社員を配置した場合は「雇い入れ」に該当しないため、この場合の雇用契約の申込義務はない。

→ 3年を超える派遣労働者が複合的な業務を担当しており、その一部を引き継ぐ労働者を入れる場合、3年を超える派遣労働者の担当している主たる業務と同種の場合、「同一業務」とみなされ、派遣労働者に対して雇用契約の申込義務は発生する。

→ パートタイマー(アルバイト)として新しい雇い入れを行う場合も、現在就業している3年を超える派遣労働者に雇用契約の申込みは必要。

→ 3年を超えた派遣労働者と同一業務に、国家資格を取得した人材を雇い入れる場合、資格を取得していない派遣労働者に対しても雇用申込みが必要。

(3)雇用申込みの義務が発生した場合

@ 雇用形態
直接雇用であれば正社員でなくても可。

A 雇用申込みの際の選考試験などの可否
 雇用申込みは、雇用条件について合意に至れば採用することを前提としているため、選考を行うことはできない。
 ただし、採用を前提として、入社後の給与や労働時間、異動・転勤など、労働条件や待遇について労働者と相談する事は可。

B採用枠以上に雇用申込義務の対象となる派遣労働者がいる場合
1名の採用枠に対して同一業務を行う、雇用申込み対象となる派遣労働者が複数いる場合、対象者全員に対して雇用申込みを行う必要がある。
 その際、全員が採用を希望した場合は、例外として選考試験を行うことが認められる。
 同様に、新たに労働者を雇い入れようとする業務について、3年を超えて受け入れている派遣労働者が、雇い入れようとする人数を超えている場合については、3年を超えて受け入れている派遣労働者全員に対し、雇用契約の申込みを受ける地位に対する応募の機会を与えた上で、試験等の公平な方法により、雇用契約の申込みを受ける派遣労働者を選考することになる。

C雇用申込みの対象となる派遣労働者が正社員になることを希望していない場合
  この場合にも、雇用契約の申込みを行う必要はある。
 一定の条件を満たすと雇用契約の申込義務が発生するので、派遣先の会社から派遣労働者へ雇用契約の申込みを行う必要がある。
 ただし、派遣労働者が採用を辞退した場合はその派遣労働者を雇用せずに、別途採用を行うことができる。

5 待機期間中の待遇

待機期間中給与を支払う義務があるわけではない。

cf. 常用型: 一般の労働者と同様に派遣元(派遣会社)と期間を定めない労働契約を結んで雇用される。派遣期間が終了しても、派遣元との労働契約は続き、賃金・雇用保障も継続し、社会保険加入、年次有給休暇など継続雇用を前提にする権利も一般の労働者と同様に保障される。
  登録型: 派遣元(派遣会社)に登録して、派遣先がみつかって派遣就労することになったときに、派遣元と期間を定めた労働契約(有期雇用契約)を締結する。派遣期間の範囲で、派遣元との労働契約の期間になり、派遣が終われば、派遣元との労働契約も終了し、登録状態に戻ることになる。派遣元への登録は、賃金や雇用の保障を伴わない。

6 社会保険

(1)加入義務

契約期間が2ヶ月と1日以上であれば社会保険に加入しなくてしなくてはならない。

(2)加入義務者

派遣労働者は、派遣元の会社との間で雇用契約があるので、派遣元の事業所が適用事業者であり、加入義務があることになる。

派遣先には加入義務はないが、派遣元に対して加入させてから派遣するよう求めるべきとされている(派遣先指針第2の8)。

条件を充たしているのに社会保険に加入していない場合、派遣会社と派遣スタッフの両方に罰則がある。

(3)待機期間中の社会保険

待機期間中や前述の条件を充たしていない契約期間の場合は、国民保険に加入することになる。

7 紹介予定派遣

(1)定義

派遣元事業主が労働者派遣の役務の提供の開始前又は開始後に派遣労働者及び派遣先について許可を受け、又は届出をして職業紹介を行い、又は行うことを予定してするもの。

(2)ルール

@ 派遣受入期間  6ヶ月以内

A 派遣労働者の特定にあたっての年齢・性別による差別の禁

B 事前面接可能

C 紹介を受けない場合又は採用しない場合の書面による理由の開示

(3)派遣契約終了時に、派遣先が採用を断ることはできるか。

求人申込みをしなければよく、採用しなくてはならないわけではない。

ただし、派遣先は、派遣元の求めがあれば、(労働者ではなく)派遣元に対して、職業紹介を受けることを希望しない(採用しない)理由を、書面、FAX、又は電子メールで明示しなくてはならない(派遣規則22条の2第1号)。

(4)派遣契約終了時に、派遣労働者が採用を辞退できるか

できる。

 

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