相続問題は口にし難いこと、考えたくないことですが、経営者にとってはそれでは済まされません。適切な相続対策を行わなかったために、
等のトラブルがあとをたちません。
本サイトでは、経営者の遺言・相続対策についての情報提供も可能な限り行っていきます。
次のような場合は、弁護士にお問合せください。
私には、長男、次男、長女の3人の子どもがいます。妻は、昨年亡くなりました。
私は、株式会社を経営していますが、長男に事業を継がせたいと思っています。
しかし、長男と次男はあまり仲が良くないので、私が死んだ後、経営権をめぐって争いにならないか心配です。
そこで、遺言を作成しようと思うのですが、どのようにしたらいいでしょうか?
相続に関し、遺言書を作成する必要性としては、以下のようなことがあります。
遺言の有効性をめぐる問題などをなるべく防止するためには、公正証書遺言にするのが望ましいです。
自筆で作成する自筆証書遺言もありますが、形式が誤っていたりなどすれば効力が生じないこともありますし、本人の意思に基づくものなのかなどの紛争が起きる余地がありますので、あまりお勧めできません。
設例について、長男に事業を継がせたいとして、長男に全部相続させるということになると、次男や長女の遺留分を侵害することになります。
遺留分とは、被相続人が、その遺産のうち一定の法定相続人のために遺さなければならない財産をいいます。本設例の場合、次男及び長女に、法定相続分(各3分の1)の2分の1で、相続財産の各6分の1ずつ遺留分があることになります。
遺留分を侵害しているからといって、遺言書が無効になるわけではありませんが、次男や長女が遺留分減殺請求をすることができるわけです。
ただし、遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与または遺贈があったことを知ったときから、1年間を経過すると時効によって消滅します。
遺留分に留意した遺言書でなくても、遺留分の限度で非後継者が取得するだけであり、遺留分減殺請求さえなければ後継者である長男が全部取得できるのだったら、その方がいいかというと必ずしもそうではありません。
すなわち、遺留分に留意した遺言書にしておけば、遺留分減殺請求の余地はないため、指定した財産を相続させることができます。
これに対して、遺留分減殺請求を受けた場合、その遺留分を分けるために遺産分割をしなくてはならず、必ずしも思い通りの財産を分配させることができないかもしれません。
つまり、後継者に事業のために必要な財産を相続させるよう予め遺言書で指定し、非後継者には事業に関係の薄い財産を取得させるよう指定しておけば、事業の安定的な承継ができるわけです。
遺言書を作成しなければ、相続人間で遺産分割をすることになります。
相続人間で紛争が生じるおそれがあるだけでなく、事業者の場合には、事業の安定を損なう結果になるなどして、会社の経営や従業員の生活をおびやかすことにもなりかねません。
遺言書を作成すべき必要性の有無を含め、専門家への相談をしておくべきなのです。
個別のケースについては、弁護士にお問合せください。