第10 解雇
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする(18条の2、解雇権濫用の法理)。
→労働契約や就業規則で解雇事由を明示すべき。
2 整理解雇
整理解雇の4要件
@ 整理解雇のための業務上の必要性の存在
A 整理解雇回避のための努力義務の履行
B 合理的な人選基準の設定と公平な選定
C 労働組合ないし従業員との協議または説明の実施
3 解雇制限(19条)
@ 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間
A 産前産後の女性が第65条の規定によつて休業する期間(第2の3参照)及びその後30日間
→ 解雇してはならない。
ただし、a第81条の規定によつて打切補償を支払う場合
又はb天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合
においては、この限りでない。
@ 少くとも30日前にその予告をしなければならない。
A 30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならない。
→ 例えば、10日前に予告した場合は、20日分以上の解雇予告手当を支払わなくてはならない。
@天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合
A労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合
→ 所轄の監督署長の解雇予告外認定を受けなくてはならない。
14日を超えて引き続き使用されている場合には解雇予告手当が必要。
それ以外は不要。
1ヶ月を超えて引き続き使用されている場合には解雇予告手当が必要。
それ以外は不要。
8 2ヶ月以内の期間を定めて使用される者及び季節的業務に四箇月以内の期間を定めて使用される者(21条2号及び3号)
所定の期間を超えて引き続き使用されている場合には解雇予告手当が必要。
それ以外は不要。
採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨・目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認することができる場合に限られる(最高裁判決昭和54年7月20日。最高裁判決昭和55年5月30日)。
具体的には、@病気、けがなどにより正常な勤務ができなかった場合、A内定を出した当時には予測できなかった不況の深刻化で会社の人員計画を大幅に変更せざるを得ず、管理職にも辞めてもらわなければならない事態になった場合、B本人が内定時に申告していた経歴・学歴の重要な部分に詐称があった場合など。